/更新:2024年12月01日 公開:2022年12月16日
回想法で認知症ケア!自宅でも気軽にできる実践方法を解説
「最近、親の物忘れが激しくなった……」
「同じことを何度も聞いてくることが増えた」
「知人の家族が認知症になったと聞いた」
もしかしたら家族が認知症かもしれないと感じる出来事が増えてきたときや、実際に認知症になった家族の介護に直面したとき、相談窓口や医療機関を頼ると同時に、自分でも何かできることはないかと思う方は多いのではないでしょうか。
大切な家族が認知症になってしまった場合、さまざまな外部の助力を得ながら、少しでも症状の進行を遅らせるための認知症ケアを模索していくことが重要です。
認知症をケアするリハビリの方法として、介護施設や病院で行われるさまざまな作業療法が挙げられますが、中には自宅で実践できるものも存在します。
そのうちの一つが、「回想法」と呼ばれる心理療法です。
ここでは、「回想法とは何か」に始まり、回想法の効果や個人が自宅で行う場合の方法、注意点などを詳しく解説していきます。
回想法とは
「回想法」とは、懐かしい写真を見たり、思い出の品に触れたりしながら自分の過去や思い出を話すことで精神の安定を図ることを目的とした、おもに高齢者を対象に行われる心理療法です。
もともとはアメリカで確立されたうつ病のための心理療法でしたが、現在日本では認知症の治療における非薬物療法の一つとして位置づけられ、医療現場や介護施設で認知症のリハビリに採用されています。
回想法の特徴は、「最近のことは忘れてしまっても、昔のことはよく覚えている」という認知症の特性を生かし、懐かしい過去の思い出に親しむことにあります。
昔の写真や思い出深い品物に触れて過去の記憶を呼び覚ますことで現在の自分を再認識できるほか、昔の話を人に語る行為が脳の機能を活性化させることから、認知症の予防や症状の進行を遅らせる効果が期待できるとされ、認知症リハビリの手段として広く用いられている療法なのです。
回想法の効果
回想法を行うことにより期待できる効果には、主に以下のようなものがあります。
認知症の進行を遅らせる
回想法で大切なのは、過去の思い出を「言葉にして話す」ことです。
過去に思いをはせ記憶を呼び起こし、それを口に出して相手に伝えることや、相手の話を聞いてコミュニケーションをとることで、脳機能が活発になり認知症の進行を遅らせる効果があるとされています。
回想法を継続して行った結果、次第に表情が明るくなっていったという事例や、認知症による攻撃的な行為が軽減したという研究結果もあり、認知症の症状改善にも効果が期待できるといえるでしょう。
精神的に安定し、穏やかな気持ちになれる
過去の記憶や懐かしい出来事を思い出し、誰かに話して聞かせることで、自己を再認識し精神を安定させることができます。
認知症の症状が原因で日常生活につまずきを感じている人も、それまでの人生を振り返り、活力に満ちていた頃の自分を回想するうちに、楽しかった気持ちや当時の自信が少しずつよみがえり、穏やかな気持ちになれるのです。
コミュニケーションを深め、人間関係を改善する
回想法では、本人の話に真摯に耳を傾けてくれる聞き手が必要となります。
思い出話を楽しみながら、自分の話をちゃんと聞いてもらえているという満足感が得られると同時に不安や孤独感が和らぐことで、人間関係の改善やより良いコミュニケーションを生む効果が期待できます。
回想法の実践方法
それでは、実際に回想法を実践してみましょう。
ここでは、自宅でも行いやすい、1対1での「個人回想法」を中心に、回想法の具体的なやり方について紹介していきます。
【準備】
回想法を行うにあたり、大切なのはしっかりとした事前の準備です
まずは、人と話ができるだけのコミュニケーション力や、人の話を聞く聴力があるかなど、話し手となる本人が回想法を行える状態にあるかどうかを確認しましょう。
複数人で行うグループ回想法が望ましいのか、1対1で行う個人回想法が望ましいのか、聞き手の年齢は本人と近い年代にするべきかなど、進行方法についても本人の性格や心身の状態に合わせて決める必要があります。
さらに、本人の視覚や聴覚などの五感を刺激して過去の記憶を呼び起こしやすくするために、本人の昔のアルバムや印象深い行事を記録したビデオテープ、本人が好きだった本や音楽、本人の手になじんだ生活用品やおもちゃなどの道具を用意します。
これらの道具が手に入りにくい場合は、インターネットで検索した本人が体験した時代の画像をパソコンやタブレットで見せてあげるのもよいですが、やはり本人の記憶と強い結びつきがある本人の昔のアルバムの写真やビデオ映像を使用することが望ましいでしょう。
これらの道具は、手に取りやすいようテーブルに並べておくほか、回想法を行う室内にさりげなく飾るなどして、本人の視界に入りやすくしておくのも効果的です。
回想法を行う場合は、話すテーマをあらかじめ決めておくのもよいですが、思い出の詰まったアルバムを眺めながら本人がよく聞いていた音楽などを流し、気軽に会話することでも回想法を取り入れることができます。
家族間で回想法を行う場合は、より自然な流れで思い出話を引き出してあげることで、本人も話しやすくなることでしょう。
【個人回想法】
医療現場や介護施設でリハビリとして行われることの多い回想法ですが、1対1で話す「個人回想法」であれば、自宅にいながらにして行うことも可能です。
話の聞き手は必ずしも専門的な知識を持っている必要はなく、ホームヘルパーや家族が何気なく話しかけて本人の昔の思い出話を聞くことで回想法を実践できます。
本格的に回想法へ取り組むならば、本人の昔のアルバムやビデオテープの映像、本人が昔使っていた道具など自宅にあるものを活用し、またある程度テーマを決めて1対1の面談方式で行いましょう。
このような自宅で行う個人回想法のメリットは、いつでも手軽に始められ、本人の話をじっくりと聞いてあげられることです。
楽しい家族団らんのひとときとして取り組むことで、無理なく継続して行うことができます。
回想法の注意点
無理に思い出させない
人は誰しも、話したくない思い出や経験があるものです。
過去の話を語ってもらうにしても、本人が思い出したくない、話したくない話題を無理に聞き出そうとしたり、話を続けさせようとしたりするのは厳禁です。特に高齢者の場合は、戦争や災害にまつわる体験には触れたくないと思っていることが多いので、常に細やかな配慮を心がけましょう。
本人が話したくなさそうなそぶりを見せたら、無理に聞こうとはせず、話したがっていることだけをじっくりと聞いてあげてください。
話を否定しない
過去の出来事を語るうちに、年号や時系列を間違えて話す場合があります。
また、以前に話していた内容と食い違った内容を話すこともありますが、決して指摘や否定はしないでください。
回想法は、過去の出来事を正しく思い出すことが目的ではありません。本人のペースで気持ちよく語ってもらうことで、コミュニケーションを楽しむこと、安心感を得ること、自信を取り戻すことが重要なのです。
聞き手は本人の話の腰を折るようなことはせず、すべてを受け入れて話に耳を傾けるよう心がけてください。
他の人に話をしない
回想法で語られた内容には本人のプライバシーに関わる情報が含まれていることが多いため、回想法の場以外で口外することは厳禁です。
特にグループで回想法を行った場合や、自宅でも話し手と聞き手以外の人間がその場にいたような場合には、本人が語った内容に含まれるプライバシーにかかわる情報が他の場へ広まってしまうことのないよう、聞き手が細心の注意を払う必要があります。
今後の認知症ケアに役立てるために、回想法の場にいなかったヘルパーや家族間で情報共有をしたい場合は、事前に本人の了承を得るようにしてください。
最後はポジティブな話題に
回想法では、本人も意図せずつらい体験を思い出し、そのまま話し続ける場合があります。
苦しい気持ちや後悔が伴う体験を話して終わりにしてしまうと、つらい気持ちを日常まで引きずってしまいかねません。回想法の最後には楽しい気分になれる話やポジティブになれる話題で締め、お茶やおやつを用意するなどして明るい雰囲気で終えるようにしましょう
自宅で行う場合の注意点
回想法を自宅で行う際には、いくつか注意すべきことがあります。そのうちの一つが、回想法を行う場所です。
本人が懐かしい思い出話を語っていても、現代的な家電や家具が視界に入ると、そちらへ意識が向いて内容が現在の話へと飛んでしまったり、思い出話が止まってしまったりする可能性があります。
回想法を行う部屋は、昔から家にあるものが多く置いてある部屋や、余計な家具や家電がなく落ち着いて話ができる部屋を選びましょう。
また、話の聞き手が家族である場合は、思い出話が思いがけず目の前にいる家族に向けての説教へと移行してしまうことがあります。そのような場合でも、決して否定や反論はせずに穏やかに話に耳を傾けてください。
聞き役に徹しながら、さりげなくアルバムなどを手に取り自然な流れで元の話題へと誘導しましょう。
思い出を残すために
ここまで、認知症の症状改善や予防に効果的な心理療法といわれる「回想法」について紹介してきました。
回想法は、医療や介護の専門家でなくとも、自宅でも簡単に取り入れ、実践できて、継続しやすいのが利点です。ただし、自宅で行う際には、昔の道具や古いおもちゃを個人でそろえるのが難しい場合もあるかもしれません。
ただ、話し手本人や聞き手となる家族の思い出が詰まった「昔の写真」や「ビデオテープ」は、多くのご家庭にあるのではないでしょうか。
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